愛しいひと







――――・・・

「・・・い」

・・・あれ?なんか、

「・・・おいっ」

遠くで誰かが騒いでるような・・・

「あーおーいーっ!」

あー・・・あたしを呼んでるんだ。


「うー・・・?」

まだ半分寝ぼけた声で返事をする。

目を擦りながらむくっと起き上がる葵を見て、紗季が呆れた声を出す。


「初日からさぼりなんて、いい性格してるじゃん」


呆れながらも笑いを帯びた声に葵は笑みとともに「ありがとー」と返す。


「ほーら、空も起きやがれっ。俺座れねーじゃん!」

海輝の声が聞こえ正面に視線を移す。


「・・・るせー」

少し不機嫌そうな声を出しながら起き上がる空の姿が目に入る。


「空の分のパンも買ってきたよ。飲み物はコーヒーでいいでしょ?」

空が寝ていたベンチに座りながら、空の分だというパンと缶コーヒーを差し出す剛弘。


「空もよく寝るね。あ、葵これでいい?」

葵の隣に座りながら、パンと午後ティーを差し出す紗季。


「あ、ありがとう。ごめんね、すっかり忘れてたよ」

そう言いながら差し出されたものを受け取る葵。




なんか、不思議な気分。






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