見慣れた部屋の、座り慣れたベッド


その柔らかさも、寝心地の良さも、私は知っている。


私の後ろに座った紀之の重みで、体ごと預ける格好になった。


首筋に唇を這わせてくる紀之の髪から、タバコの匂いに混じって紀之の匂いがする。



「…ねぇ、タバコ…一本ちょうだい」


「…終わってから…」


「…っ…ぁ」



痕がつかないくらいの強さで吸い付いてくる紀之から逃げるように、テーブルに手を伸ばした。


空いた腕の下から紀之の手が入ってくる。




「…んっ…」




焦らすような動きに、白い煙に混じった声。



「…駄目じゃん…学級委員がヤニ吸っちゃ…」




学校にいる時は話しかけてもこないくせに、こういう時の紀之はちょっと意地悪だ。