でも琉雨を前にすると
“イイオトコ”
“イイオサナナジミ”
無理矢理演じる…
今にも溢れ出しそうな気持ちを抑えて…
イイオトコを演じるのも
イイオサナナジミを演じるのも
日常茶飯事なことだけど
平気なわけない…
好きな人に気持ちを伝えたくても伝えきれない
だって幼なじみという関係を崩したくはない…
琉雨が教室を出て行ってしばらく経った後
やっぱり琉雨が気になる俺はほうき片手に
校門が見える窓へ移動し窓から見ていた…
琉雨を…。
手にはチョコらしきものを持っていない…
きっと恥ずかしいんだな。
下校中の生徒たちに
この子チョコ誰かに渡すんだ?
そんな風に思われるのが
そんな琉雨にフッと小さく笑った俺…
琉雨は結構照れ屋だからな…。
そして自分の顔から自然と笑顔が消えた…
アイツだ…。
俺はほうきをギュッと強く握った…
琉雨の好きな奴
琉雨が今日チョコを渡す奴…


