特別編†チョコレートとキミ†春輝 side


去年のバレンタインデー

「わっ私!今から行ってくる!!」

放課後

教室掃除の俺はかったるい気分で

掃除道具入れの中からほうきを取り出していると

琉雨が緊張した面持ちで俺にそう声をかけてきた…

あぁ…そっか

先輩にチョコ渡すんだよな?

だったら…今日は俺と帰れねぇよな…。

そう悟った俺は

『あはは(笑)お前かみまくってるし!!本人前にしてかみまくるなよ?』

そうからかい口調で言った…

「なっ!?そんなことしないもん!!とっとにかく行ってくるから!!」

恥ずかしそうに頬を赤く染めて俺を睨んで言う琉雨…

ってか…

またかんでるし(笑)

『頑張れ!!』

そう言って笑顔で琉雨の頭に手を乗せる…

琉雨は思いっきり笑顔で大きく頷くと

「うん!!頑張ってくるね!!」

そう言って教室から出て行った…

俺の前から居なくなった琉雨に寂しさを感じる…

でもそれ以上に

『ずいぶん慣れちまったもんだな俺も…』

小さくそう呟いた…

誰にも聞こえないように

そう…慣れてしまった自分の方がもっと寂しく感じる…

琉雨に“イイヤツ”と思われたくて

“幼なじみの顔”

を崩さないようにして笑顔で琉雨の背中を押す…

言葉とは行動とは裏腹な俺を琉雨は知らない…