特別編†チョコレートとキミ†春輝 side


琉雨は足早にその場を去って行った…

アイツ絶対に泣く!!

直感的にそう思った俺は

強く握っていたほうきから手を離した…

必然的にほうきは

小さいのか大きいのか分からない

微妙な音を立てて床に落ちる…

考えるよりも先に体が動いた…。

俺は無我夢中で走って教室を飛び出していた…

当然先生やクラスの奴らの声が後ろから聞こえてくる…

けど…

今の俺には関係ないんだ

“早く琉雨に会いたい”

ただひとつの自分勝手な望みのために

俺は走った…

というより

突っ走った

という表現の方が

ピッタリそうだ…。

途中信号に引っかかって
信号が赤から青に変わるまで待ってる俺は

どこか冷静だった…。

だって俺が冷静にならないと…

琉雨に会った途端

琉雨を琉雨の顔を見た途端

俺の気持ちをぶちまけてしまいそうだから…。

鞄なんて教室に置きっぱなし…。

まぁ…

別に困らないんだけどな。

だって勉強道具とか学校のロッカーに入れてるし

まぁ置き勉ってやつ?

携帯も財布もズボンのポケットだし。