「あ…で。そん時もけっこー複数と……あー……」

「……関係を持ってたんだな?」

「……ハイ」

しゅん、と言う効果音が聞こえるぐらい肩を落とした。

「早く。その先が大事だろーが」

「おぉ…」

思い出すように、なにかを指折り数えている。

どうせ女の数だ。





「そやそや…西園寺華と、他に2人いたんやけど。その2人、ヤられたんや」





その『ヤられた』は、なんのヤられたなんだ。

「もっちろん、あっち方向の、やで」

「ハイハイ…」

聞く前に答えてくれちゃったよ。





「何で西園寺華ってわかんの?」

「だって、言うてきたんやもんー。これで櫂は私のものですわね、とかなんとか。怖いっちゅうねん」

「……で?今度は城山愛が、って?」

「可能性はアリアリや」

まあ……高いな。

「……いつだって?」

「放課後」

「……どこ?」

「そこまでは見えんかったねん。…てか…いっちゃん重要な場所がわからんって…」






…………………。






「……俺、こんなとこで話してる場合じゃなかったんじゃねぇか?」






「そうかもなぁ」なんてごまかすように笑う朝比奈を殴った後すぐ、昼休み終わりを告げるチャイムが鳴った。