驚いて、手を離してもーた。 ―――ボスッ ワンピースは小さな音をたてて、ゴミ箱に落ちた。 「櫂せんぱい……?なんですか、それ」 皐月がゴミ箱から拾おうと手を伸ばしたが、それを止めた。 「………なんでもあらへん。何?」 動揺を隠して、笑う。 そんな俺を皐月は不思議そうに見つめとったけど、抱えた数学の教科書とノートを突き出して言った。 「勉強、教えてくれますか?」