だけど、何秒たっても私の頭が痛むことはなく。
かわりに
「……やめろ」
っていう爽の声。
目を開けると、爽が美羽さんの腕を掴んでいた。
美羽さんは痛みに顔を歪ませている。
「……なんでよ…」
「愛は傷つけないって約束だろ」
「……あたしと一緒に行ってくれれば、愛ちゃんには何もしない……だから、爽は、あたしのところに来てくれ……」
「美羽、聞いて」
爽が、美羽さんの腕を離す。
美羽さんは爽に抱きつこうとしたけど、それを爽は拒んだ。
「………美羽」
美羽さんは「いや…」と涙をこぼすけど、爽の口は止まらない。
「ごめん、行けない」


