「昨日、爽に電話して今日行くって聞いてん。やっぱり、このままなんて嫌や」 櫂が私を見つめる。 少し茶色がかった、意志の強い瞳。 「好き同士なのに離れるなんて、納得いかん」 やめて。 「…………離れなきゃいけないときだって、あるよ」 「そんなん、ないわ」 櫂の言葉は、心に響いて 「ほんとに好きなら壁ぐらいふたりで乗り越えればええねん。あきらめんな、愛ちゃんのあほ」 私の体を、動かすから。 だから やめて。