美羽さんがネクタイをほどく。



前まで、私がしていた爽のネクタイだ。





「……脅したって、どういうこと、ですか?」



「事故のこと、聞いたんだよね?」





私は頷く。



お父さんが死んだ事故、だよね。



美羽さんの指がブラウスのボタンを外していった。







「爽があたしを突き飛ばしたから、あの事故はおきたの」





ひとつ。





「そして、愛ちゃんのお父さんは死んだし」





ふたつ。






「あたしは………」






みっつ。








「この傷を、負ったんだ」









美羽さんの胸元に、赤く、痛々しい傷跡。