そんなお情けみたいな感情は、いいよ。 「そ……」 「愛」 耳に注がれる吐息に背筋がのびる。 いま、名前、呼んで………… 「……俺、お前のことすっげー傷つけた」 ……………え? 「父親死なせて、そんで勝手に呼び寄せたくせに裏切って。いっぱい傷つけた」 さらに力が強まって、また距離が近くなる。 「…………だから、俺がお前を好きになる資格なんて少しもないんだけど」 顎をつかまれて、引き上げられて。 「だけど………ごめんな」 もっと、もっと、近くなって。