「…………とりあえず、俺は美羽から離れることはできないから」 「何でやねん」 「それは言えねー」 あの傷のこと、美羽は俺以外には言ってないから。 女の体に残った傷なんて、あまり他人には知られたくないはずだ。 沈黙がおりた。 ――――――――――― 「…………もう、ええわ」 かたくなに話そうとしない爽に、あきらめた櫂。 イスから立ち上がる。 だが、このままでは2人がくっつくことはないと思った。 それでは意味がない。 愛には、幸せになって欲しい。