「……あの、聞いてもええですか」 お母さんに向かって、問いかける。 「どうぞ」とお母さんが言った。 「その、さっきの理事長の孫って人と……今も、連絡とってたり………」 しどろもどろの櫂。 だけど、お母さんは櫂の『気になっていること』がわかったのか、にこりと微笑む。 「……知ってるの?」 「いや、事故で、助けてもらったことぐらいしか聞いてへんのですけど」 「そっか……」 ??? 誰のはなし? 櫂は、知ってるの? 私は、知らないひと? 「………あの子、何て言ってた?」