「……来い」
私を櫂からひっぺがして、自分のほうに引き寄せる。
怒ってる、怒ってますよコレ。
なんかまた泣けてきた。
「だから、何で泣くの」
ぐい、と私の目尻をぬぐう。
爽が私を見下ろすと、漆黒の髪から落ちる雫が涙ですでに濡れている頬を濡らした。
「あ、悪ィ」
すると、それを躊躇なく舐めとる。
「!!!??」
「いただきました」
見慣れた意地悪な微笑み。
それだけで私の胸は高鳴って。
同時に、また、悲しくなる。
………何で、そーゆーことするの?
爽には美羽さんがいるんでしょ?
私、ばかだから信じちゃうじゃん。
期待とか、させないでよ。


