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「お待たせー……ん?」
カノンをつれて戻ってきた櫂は、ソファーで寝続ける爽を呆れた表情で見る。
「爽、起きなかったん?」
「え…あ、うん…」
私が頷くと「お嬢様に起こされて起きへんなんて、執事失格やなー」なんて言って爽の頭を叩いた。
痛みからか、すぐに半身を起こす爽。
「いって…!!?」
「おはよーさん。はよ風呂入ってくれへん?」
キョロキョロと辺りを見渡すと、ため息をつく。
「めずらしーなぁ、寝起き悪いの」
「んぁー…なんか夢みた…」
「なんの」
「…………いや、覚えてねーけど」
そして、お風呂に入るために立ち上がって出ていった。
『美羽』が誰なのかは、聞けなかった。


