私の足元に、やわらかい感触。
見ると、そこには金色の毛をした犬がいた。
まさしくゴールデンレトリバーだ。
「ワン、ワンッ!!」
元気よく吠えると、私にすり寄ってくる。
………かわいい…っ!!
しゃがんで、抱きしめる。
くぅん……って鼻をならした。
かわいいーっ!!
「………カノン、空気読めやぁー…」
櫂はため息をついた。
すでに愛の眼中に自分はいない。
元凶である、後ろに立つ男をニラみつけた。
「何すんねん……爽」
「何がだ?」
ニヤニヤ笑いながら自分を見る。
「とぼけんなや、カノンに指示出したやろ」
さっき、カノンが吠える前に微かに聞こえた「行け」という言葉。
「地獄耳だな、オマエ」
「なんで邪魔すんねんー!いまイイとこやったんやで!!」
「へー」
「うっわ、反応薄ッ!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ櫂にあきれたようにため息をつき、爽は言った。
「俺以外の男が触るのは、いくらオマエでも許さねーって言ったろ」


