「友達は、嫌や」
……そっか。
私じゃ、ダメか。
2回も言わなくていいのにな。
乾いた笑いがこぼれた。
「あは……ごめんね」
勝手に仲良くなれたと思い込んでて。
今日呼ばれたのだって、爽のついでかもしれないのに。
「調子のって、変なこと言った。ごめ…」
「愛ちゃん」
私の言葉をさえぎって、顔を近づけた。
もうすぐ、キス、できそうなくらい。
綺麗な顔に私の体がこわばる。
「友達は、嫌や。友達はな」
もう一度、櫂が言う。
……………友達、は?
『は』って、どういうこと?
櫂の手が私の頬に触れる。
輪郭を確かめるように、撫でた。
更に、近く。
「だって……友達になってもーたら、愛ちゃん俺のことなんか、恋愛対象に見てくれへんやろ?」
その低い声と共に、
「ワン!!」と、何かが吠えた。


