「キレー……!!」
キラキラ光る水面、引いては返す波の音。
夏はキライだけど、海は、好き!!
水着きて、準備万端。自分でもわかるくらいハイテンションだ。
「愛、そんなにはしゃぐと転ぶぞ」
そうして波打ち際に立つ私の手を引くのは、爽。
『別荘行ってるあいだは、敬語禁止!!これ、主人からの命令だからね!!』
くる前に、そう言っておいた。
だってせっかくの夏だもん、堅苦しいの、ヤ。
爽は渋ってたけど。
「おーっ!かわええっ」
「ぎゃっ!!!?」
突然、後ろから抱きつかれた。
振り向くと、櫂の顔ドアップ。
「こんなセクシーなん、愛ちゃん着ーへんと思ったんやけどなぁ」
私の水着のことだ。
布面積少なくて、ヒモで結ぶやつで、黒。
もちろん、私だって着たくて着てるわけじゃなく。
選んだのは、爽だ。


