その夜。 夕食の時間、爽と話した。 「爽はさ、知ってたの?」 「……何が、ですか?」 わざとらしく首をかしげる。 わかってるくせに。 「櫂の家のこと」 「ああ……まあ、知っていましたね」 「夏休み誘われることも?」 「知っていました」 …あー。 もう、聞いちゃおう。 「………何で櫂、さみしそうなの?」 すると、一瞬爽が驚いたように目を見開く。 だけどすぐに微笑んだ。 小さな声で、言う。 「……朝比奈は、父親がいませんから」