「で、今日は愛ちゃんと話したかってん」
「あ、うん」
何?と聞くと、櫂は極上スマイルで
「夏休み、俺と過ごさへん?」
と、言った。
「………夏休み?」
「そ。もうすぐやん?」
確かに、もうすぐ、あと1週間くらいまでせまっている。
みんなは、外国やらなんやらいろいろ所に行くとか言っているが、私は特に予定はない。
強いて言うなら、ちょっとだけお母さんに会いに行こうかな、ぐらいだ。
で。
「……どゆいみ?」
「だから、愛ちゃんに予定ないんやったら、俺と一緒にぃッ!!?」
いきなり爽に後頭部を殴られて、縮こまる。
「…いだぁー……何すんねん爽……」
「だから………あー…もういーわ。帰れ阿呆」
しっし、と『あっち行け』ジェスチャー。
「面倒くさがらんといてや。何か俺が悪いみたいやん」
「お前が悪いだろ、どう見ても」
そして「てかよ、」と、続ける。
「俺の目の前でお嬢様に手出したら殺すから」
…………………。
…………あー…静まれ、心臓。


