兄の問いかけにすぐには答えられずにいた。



「研吾もしかして3年前の彼女?」



僕はああ、としか言えなかった。



「研吾今は私情を挟むな。」


『分かってるよ兄貴。オペの準備はOKだから。


僕も兄貴につくから。』



朝里の腹膜炎はかなり進行していた。



よくここまで我慢したよ。


朝里らしいけど、おまえは何にも変わってないな。



見た目は驚くほど変わっていた。



13才の可愛い朝里が綺麗な女性になっていた。



眩し過ぎるくらいに綺麗だ。


朝里のそばに寄り添う彼氏の存在。



朝里にお似合いだな。



僕はこの3年朝里を忘れた事はなかった。



茉莉とも別れ今は彼女もいない。



ただ一生懸命仕事をした。


3年前僕は仕事を辞めようとしたのを、



兄に止められた。



全てを知った兄が、「彼女の事は無理に忘れなくてもいいから、


彼女みたいな子を救ってやれよ。


おまえには今やるべき事があるだろう。


全ては時が解決してくれるはずだ。」



僕は兄の言葉を信じてみようと思った。