「あ……」 教室の床に 智世のお弁当が散らばった 智世の表情が暗くなった 悲しい瞳で 裏返って床にへばりついた お弁当を眺めていた あたしの心は嬉しくなる 思わず口が緩みそうになり 慌てて唇に力を入れた 「ごめぇん、智世 どうしようっ!」 私は立ち上がって 慌てたふりをした 智世は首を横に振った 「あ、いいって 気にしないで」 「どうしよう ごめん、智世がせっかく 作ったお弁当なのに…」