『今、京都いるんだろ?母さんの仏壇に手合わせたい、って言ってる人が俺の家に来てるんだが…』



母の仏壇は私の狭い一人暮らしのアパートにある。



離婚して間もない為、離婚を知らない人が訪ねて行ったのだろう。



『それなら、お兄ちゃんが留守番してるから、お兄ちゃんに電話して。市(イチ)の方だから。』



端的に話を済ませて、電話を切る。



あんな奴、父親なんかじゃない。