席に座っていたのは女子。身長150cm足らず、亜麻色の頭髪にオニキスを思わせる瞳に固結びにした小さな口…なかなかの顔立ち。

「なんだよ、誰も集まってねえじゃん。あんだけ騒いどいてありゃないんじゃねぇの?」

転校生の周りには誰もいない、まるで存在してないかの様に扱われている。

「いやですね、あの娘が自分で『相手にしないでください』って言ったもんだからアタシ達も話し掛け辛くて…って」

久留島の話は何者かの出現により中断された。

「文句あんなら私の目の前で言ってもらえないかな?」

そこに小さな氷山がそびえていた。久留島胡桃は凍りついている。

「いや文句とかじゃなくてこの三浦君に有栖川さんの事を言ってただけで…悪口に聞こえたなら謝ります、ごめんなさい!」

「いや…その…別に私は貴女が何を言っていたか気になっただけで…あの…その」

久留島が謝罪すれば今度は校生有栖川とやらが顔を紅潮させて急に吃り始めた。

「ごむめんなささい!」

おもいっきり台詞を噛んだ有栖川は一直線に席に戻って行った。なんだアイツは…充の頭にはクェスチョンが蔓延した。