佐山の云った通り、約2時間後に様子を伺いに覗いた時に、佐山がもう直ぐ終わりそうだと教えてくれたので、私はそのまま佐山の隣で作業の終わるのを待った。


「やっぱり、ウイルスに感染してましたね!メールソフトのアドレス帳にあるユーザのアドレスへ勝手にウイルスメールを送りつけてしまうタイプのウイルスでした」

「もう、大丈夫なんですか?」

佐山の説明を聞きながら、自分は未だにメールを出す手順で戸惑うというのに、ウイルスというやつは、勝手にしかも大量にアドレス帳に載っているアドレス全部にメールを出してしまうなんて、大したもんだと感心していた・・・

「ハイ、パソコンの動きも良くなりましたし、これでばっちりです。ウイルス対処ソフトのアップデートもしておきましたので、今後一年間は有効ですからね」

「一年たったら、またウイルスに感染するんですかぁ?」

私は、多少憂鬱な気分になって訊いてみた。


「再度ウイルス対策ソフトの有効期限内に、更新手続きのお知らせが来ますからね、それが来たら更新手続きをしてもらえれば、感染は防げますよ!」

「ややこしいですね~」

「もし、解らないようでしたら、その頃うちの会社へ電話頂ければ伺いますけど?」
「その時は、またお願いしますわ!」

また自分で勝手にいじって、挙句の果てにパソコンを調子悪くしてしまうよりは最初からプロに頼んでしまったほうが良い!。それがパソコン初心者の私が、この一年半の間に学習した、最も重要なパソコンの扱い方だったかもしれない。

「では、ありがとうございました。また何か有りましたら、お願いします!」
佐山は丁寧に頭を下げて、愛想の良い笑顔で川口宅を後した。