俺は一応考える仕草だけはしてみた。



特に何かが思いつくわけではないが、そうしないと拳か足が飛んできそうだった。




「ねぇ、何かいい考えはないの?」




くいくい、と俺の制服の裾を引っ張られる。



今考えている(仕草をしている)というのに落ち着きがないやつだ。



そう思うなら少しは自分でも考えてみろ。



それから俺に言え。




「ねぇってば」



「……………」



「ねぇってば!」



「だあぁ!!
今考えてんだからちっとは黙ってろ!」




美波はムスッとしながら黙り込んだ。



口をとがらせ、私は不機嫌です、と言わんばかりの表情だった。