不機嫌そうな雨宮に睨まれる。


あれ?


何で俺、母親に怒られた子供的心境に陥ってんだ?




「雨宮!

話はまだ終わってないぞ!」



と、雨宮の肩を担任が掴んだ。


どうやら雨宮は話が終わる前に勝手に帰ろうとしていたらしい。



さすがに担任も少々お怒りだ。


だが、それに対しても、嫌悪感を込めた視線で雨宮は担任を睨む。



「離してください。

先生、セクハラで訴えますよ?」



「なっ…!?」



慌てて肩から手を離す担任。


すげえなこいつ…


さすがにここまで教師相手に敵意をむき出しにはできねえよ。




「私はこれ以上話すことなんてありません。

他に何もないのでしたら、これで失礼させてもらいます」



「ま、待て…

話はまだ………」



担任を無視し、俺の横を通り過ぎていく。



また、あの顔だ。


さっき初めて見た、俺の知らない雨宮の顔だった。