聞き耳をたてること数分。


ちなみにその間に向けられる視線は全てスルーだ。



こいつ、やたら情報が豊富なやつだとは思っていたが、いつもこんなことしてるのか?


うわ…やっぱりバカだ、こいつ。




「どうやら…進路の話らしいな」



「進路?」



俺たちは三年だ。


それなら進路の話をするなんて珍しくない。


つい最近も三者面談を終えたばかりだしな。



「むっ………

まずい、雨宮が来る」



勇人の一言で、俺たちは慌ててドアから離れる。



すると、荒々しくドアが開いた。


そして、不機嫌そうな雨宮が現れる。



「よ、よお…」



「………何してるの?」



やべえ、怖いです。


初めて素で雨宮を怖いと思った。



「いや、その………さ、散歩だよ散歩」



「………一人で?」



「は?

いや、そこに………」



と言って、勇人を指差そうとして………




その指は空気を指差すことになる。




あのやろう…!


あっさり逃げやがったな………