いきなりの校内放送。



それが目の前の人物を呼ぶもんだから驚いた。



それは俺だけじゃなく、他の連中も同じだったようで、みんなして雨宮を見る。




「あーあ、めんどくさ…

もう…ほっといてよね………」




心底嫌そうな顔をする雨宮。


反応からして、こいつは呼び出された理由が分かってるのか…?




雨宮は食べかけの弁当をしまうと、席を立った。



そのときの表情を見て、俺は何ともいえない違和感を覚える。


だってそれは、俺が初めて見る雨宮の顔だったんだ。




      ◇




「………でよ、何で俺たちはこんなことを?」



弁当を素早く食べ終えた俺は職員室の前で中の様子を覗いていた。



何故?


いや、なんとなくわかるだろ?


俺の友人にはやたら野次馬精神が豊富なやつがいんだよ。



「いきなりの校内放送だ。

なにかおもしろいことがある、と俺の長年の勘が言っている」



「知らねえよ………」



俺はコップを職員室のドアにつけて聞き耳をたてる金髪バカを哀れに思った。