「はあ………」



今、初めて神に問おう。


神よ、何故俺にばかりつらい仕打ちをするのだ。



「そういえば………千鶴ちゃんがいないわね」



雨宮が薄暗い空間をキョロキョロと見渡す。




千鶴………


何でだろう。


俺は今、あいつに癒やしを求めている気がする。


あいつなら俺をぞんざいに扱ったりしない。


ああ、早くこいよ千鶴。


お前の元気が非常に恋しい。




「ああ、千鶴なら、演劇の最中に電話があって…」



「………電話?」




そういえば携帯鳴ってたな。


あれ、電話だったのか。




「なんか知んないけど。

それで千鶴、病院に………」




そこで、美波の言葉は止まった。


暗がりに、件の人物らしきシルエットがうっすらと映っていた。