妹なんていらない

「結城…お前、服のサイズいくつだ?」



「え………?

LかLL………ですけど」



「…俺と同じだな」




この時点で、俺はこの後の行動はあらかた決まっていた。


ただ、見ず知らずの後輩だらけのクラスの演目に口をはさむのは…




「あ、あのー…

先輩………?」



背後から千鶴に声をかけられる。


ううむ…

そんなことして、本当に大丈夫だろうか?



「千鶴、他にロミオの役を練習していたやつはいるのか?」



「いえ………多分、結城くんだけです。

遊び程度にならやっている人もいましたけど…」



辺りを見渡す。


皆、このまま終わりたくない、と思いつつも、主役の代役なんてできるはずがない、と歯がゆく感じているようだ。



「………そろそろ、僕、いかないと………」



なおも立ち上がろうとする結城。


たしかに、会場のざわつきが聞こえてきていた。


これ以上、劇を放置していてはまずい。




………ああ、もう。


どこまで演劇に縁があんだよ、俺は。



「結城………」



「……はい?」




俺は、迷いを振り切るように、はっきりと言った。




「俺がやる」