妹なんていらない

「あ…、先輩!

ど、どうしましょう!
ゆ、結城くんが、ロミオが倒れちゃいました!」



慌てる千鶴をなだめ、俺は結城に駆け寄った。


相変わらず呼吸が荒い。


額に手をやると、はっきりと異常な熱を感じた。



「何だこの熱……!

おい、結城!
お前、いつからこんなに…!」



「あ、はは………

昨日…ずぶ濡れになって帰ったら………ゴホッ!ゴホッ!」



昨日って………


こいつ、あんな雨の中、ずぶ濡れになって帰ったってのか…?



「ど、どうしたら…」



「ロミオの代役どうするの…」



「お、お前やれよ…」



「む…無理に決まってんだろ!」




結城を取り囲む連中からロミオをどうするのかで口論が始まった。



どうする?


たしかに、今の結城じゃ…



「や、やります…」



「なっ…!?

馬鹿っ!!
おとなしく寝てろ!!」



「僕以外…ロミオできないんですよ……

ここで…僕一人のために演劇を終わらせるなんて………


僕には…できません」



「………!」