妹なんていらない

結城の演技はなかなか様になっていた。


俺も同じ演技をしてたわけだから、どこがどうなっているのかがよくわかる。



さっき感じた違和感は気のせいだったのだろうか。


俺はてっきり………





と思った、そのときだった。



バタン!



舞台の小道具を移動させているときに、舞台袖から何かが倒れるような物音がした。


次いで、女子の小さな悲鳴が聞こえた。



普通なら、舞台袖で小道具を落とした、とか、そんな風に考えていたと思う。


だけど、俺には嫌な予感ってのがさっきからあった。


さらに………





俺は慌てて舞台袖に駆け込んだ。


すると、そこには荒い息づかいでクラスメートに支えられた結城の姿があった。



「やっぱり………

この馬鹿………」



さらに、俺の悪い予感ってやつはたいてい当たっちまう。