妹なんていらない

「美波たちの演劇って何時からだっけ?」



「えっと………」



俺はポケットに突っ込んでおいた文化祭の案内を取り出した。



「2時だ」



が、俺が確認するよりも早く勇人が飲み物を飲みながらつぶやく。


いや、もう慣れっこだからつっこまないけどよ、お前、何でそんなに記憶力いいわけ?


何だか記憶力とかの問題じゃない気もするけどよ。



「2時かあ…

それじゃあ、みんなでお昼ご飯いく?」



「うーん………

正直あんまり腹減ってないんだよな…


…そうだな、俺はいいから、勇人と二人で行ってこいよ」



「え…?

あ、ああ…そっかそっか…

………それは残念」



雨宮はちょっと困ったような顔をした。


うーん、いくらなんでも男と二人はキツいか?



「俺は別に構わないが…

お前はどうするんだ?」



「もう少しここでのんびりしとく。

何か用があったら携帯にでも連絡してくれ」




俺がそう言うと、雨宮と勇人は連れ立って人混みに消えていった。


去り際に雨宮がチラッと何だか不服そうに俺を見てきたのだが、まあ、気にすることじゃないだろう。