妹なんていらない

俺は爆睡中の美波はとりあえず放置することにし、俺は台本片手にベッドに横になった。


パラパラとページをめくり、ついさっき練習したばかりの部分を確認する。



「これを明日…美波と結城でやるのか………」



てか、これ、本当に美波のやつ、大丈夫なのか?


手握りあったり、抱き合ったり、キス(ふり)したり…



その結果、美波は例のごとく顔を真っ赤にし、まともな言葉を発せなくなるだろう。


とてもじゃないが、まともな演劇になるとは思えないんだが。


クラスの連中は美波の様子がおかしいとか思わなかったんだろうか。



「んん…ロミオ…あなたはどうしてロミオ………」



寝言、なのだろう。


寝言まで演劇しなくてもよかろうに。



「………さあ、何ででしょうかね」



俺は台本を机の上に放り投げると、眠る美波を起こさないように背負った。


うわ、こいつ軽………



そして、部屋の扉を足で開けると、美波の部屋に入り、美波をベッドに下ろした。


その間、美波は一切起きるような素振りを見せることなく、ぐっすりだった。



「…おやすみ、美波」



俺は美波の寝顔に、そう声をかけると、部屋の電気を消して部屋に戻った。