妹なんていらない

「さあて、いよいよ明日は本番!

今日は詰めだからね、徹夜覚悟で臨みなさいよ!?」



「えぇ………」




夕食後、俺の部屋に来た美波は、これまた当たり前のようにベッドの上に立ち、俺を指差しながらそう言った。



てか、徹夜覚悟って…


ないない。

絶対ない。



「何で嫌そうな顔してんのよ」


「いや、そりゃそうだろ…

何で徹夜までして演劇の練習に付き合わなぶっ!!」



俺の目覚まし時計が、俺の顔面に当たった。


言う必要ないかもしれないが、もちろん美波が投げてきた。



「なってなあーい!!

あんた、そんなんでオスカー取れると思ってんの!?」



「オスカー関係ないだろ…って危なっ!!

お前、手当たり次第に物を投げるな!!」



「うるさいっ!!

今回の劇には、オスカーと同等…いえ、オスカー以上の価値があるのよ!!」



言い切っちゃったよ、こいつ…


ただの一高校の、ただの文化祭の一演目である演劇がオスカーに勝っちゃうんだ…



「だ、だって…ねえ………

これ、成功したら結城くんと…ねえ………

打ち上げとかで盛り上がっちゃって…その場のノリで見つめ合ってたら………

ああっ!
そんなことになったら、私、どうしたらいいんだろうっ!?」



結局それか、妹よ。