妹なんていらない

「俺は犬だ………」



「いきなり何言ってんの…?」



俺と雨宮は、雨宮が持っていた一つの傘で、いわゆる相合い傘というやつで家路についている。


もちろん、傘持ちは俺の担当だ。



「ふふ………こんなとこ、誰かに見られたら誤解されるかもね」



「それはねぇよ。

俺みたいな地味なやつはお前とつりあわない」



「………ん?

あれ?
今、さりげなく私のことかわいいって言った?」



「………」




追求せんと俺を見る雨宮から顔をそらす。



いや、たしかにこいつ、面だけはいいんだよ。


男子連中にモテるのはわかる。



………まあ、性格はぶっ飛んじまってるけど。



「そっかそっか。

嬉しいな。
そう言ってもらえるなんて」



「………かわいいだなんて言われなれてるだろ」



「かもね。

でも、高橋くんに言われると、すごく嬉しい」



「…………」



不覚にも、赤面してしまった。