妹なんていらない

それは文化祭まであと一日、という日のことだった。



「雨…かよ…」



俺は、突然の雨に靴箱近くで立ち往生していた。


たしか、今朝のニュースでは降水確率は十%かそこらだったはずだが。


十回中一回みたいな降水確率でこんなに降るとはつくづく運がない…



俺は、はあ、と一つため息をつき、肩を落とした。




「あれ?
どうしたの、そんなところでぼーっとして………」



きたか、小悪魔(雨宮)。



「ああ、この雨だからな…」



「ああ、ね…

まったく、高橋くんは準備がなってないなあ。

私はばっちり置き傘してたから心配ないけどね〜」



「それはえばることじゃねぇ」



「えぇ………

なあんだ、せっかく入れてあげようと思ったのに」



雨宮はうるっと瞳を潤ませた後、俺に背を向けた。


多分、やつは今、俺が泣きついてくるかどうかをニヤニヤしながら待っているだろう。



………ぐ。


どうする俺?


こんな悪魔に魂を売っちまっていいのか?


そんなことになったら俺はこいつの犬扱いに………