妹なんていらない

「えっと………な。

俺、なんか知らないけど、呪われてんだよ」



「呪われてる?」



「まず、幼稚園から高二までずっと、劇をやるクラスにいた」



「うわあ…地味なすごさ」



美波は少し引きつった表情で答えた。


ああ、こいつ、この先言ったら笑うんじゃないか?




「そして………望んだわけでもないのに、ほとんどがくじだったのに………」



俺はため息をつき、肩を落とした。



「生まれてこの方、劇で主役以外の配役になったことがないんだ…」



「ぶはっ!!」



ほれ見ろ。


やっぱり笑いやがった。



「う、生まれてこの方って…ば、馬鹿じゃないの!?

あははは!!
…く、苦しい………はあ、……ああ、分かった、あんた凶運の持ち主なんだ!!」



「ぐ………」



返す言葉が見つからない。


実は、さすがにここまで連続でやるやつは珍しいので、中学時代、からかわれたことがある。


終いには、同じクラスの女子から「演技に自信あるんだね、期待してるよ」とまで言われてしまった。


期待を裏切らないように、必死になって稽古した昔が懐かしい…