妹なんていらない

「いろいろって?」



「えと、まあ…なんだ………」



俺は正直思い出したくなかった。


なんというか、俺にとっての恥ずかしい過去なんだよな。



「…早く教えてよ」



「あんま言いたくねえ…」



「言わないと五分後、恐ろしい目にあうわよ」



「何故に五分後!?

中途半端に準備期間があってこえぇよ!!」



「といってもバットに釘打つだけだけどね」



「十分あぶねぇ行為だ!!」



それでお前は俺に殴りかかるのだろう。


くそ、俺は何で妹相手に毎日のごとく脅迫されてんだ。


さすがは美波、恐ろしい…



「…わあったよ、話すよ、話せばいいんだろ」



「うんうん」



そう言った途端、美波は何かを期待するかのような眼差しを俺に送ってきた。


こう言っちゃなんだが、ほしいおもちゃがあるから買って、みたいな感じの雰囲気をかもし出す子供に見られた親の心境だ。


最近思うんだが、素の美波は本気で子供っぽい。