妹なんていらない

「そんなところだよ、高橋くんの優しいとこ」



疑問符を浮かべていた俺に、雨宮が諭すように言う。


いや、諭されたところで理解ができない以上、意味がわからないんだが。



「いや、全くわからん」



「自覚がないんだよ。

だから………ちょっと危なっかしい」



「危なっかしい?俺が?」



おもしろいことを言う。


俺は自分をそんなに危なっかしい人間だと思ったことはない。


危なっかしい人間ってのは、美波みたいなやつを言うのだ。



「いつかさ、高橋くん………

何かとんでもないことしでかしそうな気がするんだよね…」



「あのよ、それはボケか?

俺は何故か最近ツッコミになってる気がするが、全てにつっこむようなスキルは持ち合わせてないんだぞ」



「………まあ、うん、ボケだから気にしないで」



「ボケかよ!

えらくひっぱっといてボケですますな!!
なんかこえぇよ!!」



「ふふ………

高橋くん、相変わらずからかいがいがあるなあ…」



「今改めて俺は理解した…

お前は間違いなくSだ!!」




そんな会話を繰り返し、朝の喧騒は収まった。


少し、雨宮の言葉が気になったが、まあ、とるに足らないことなのだろう。