妹なんていらない

どのくらい時間が経っただろう。



おそらく一、二分くらい…もしくは数秒だったかもしれない。


だが、どういうわけかえらく長い時間沈黙が続いた気がする。



ついさっきまで会話が弾んでいた反動なのか。


普段おしゃべりな千鶴が黙っているからなのか。


あるいは両方だったかもしれない。




「………先輩」



意を決したかのように、千鶴は顔を上げた。


俺は黙って千鶴の言葉の続きを待つ。




「これから言うこと、笑わないで聞いてくださいね?」



「え?

………あ、ああ」



一瞬反応が遅れてしまった。


俺は慌てて千鶴に言葉を返す。



「………約束ですよ?」



「………わかった」



俺がそう言うと、千鶴は一息つき、それから話し始めた。