妹なんていらない

「さあて、次はどこにいきましょうか?」



「とりあえずそのクレープ食い終われ。

話はそれからだ」




俺がそう言うと、千鶴は、うーん、とうなった後、あっさりと納得したのかクレープにかぶりついた。


ああ、食い終われとは言ったがそんなに焦って食うな。


クリームが……クリームが……




「どうかしましたか?」



「ああ、もう…

ほら、頬にクリームついてんだよ…」



俺はさっき道端でもらったポケットティッシュで千鶴の頬についたクリームをさっとふいてやった。



「あう…、すみません先輩。

私、甘いものを前にすると思考回路がショートするんです」



「すげぇな、甘いもの…」



人の思考回路をショートさせるほどの威力があるとは思えないのだが。




「それにしても、こうしていると私と先輩って兄妹みたいですね」



「うん?

ああ………まあ、たしかに」



美波なんかより数倍妹っぽいよお前は。


あの妹ときたら兄を問答無用で追い出しやがったからな。



「ためしに“お兄ちゃん”とでも呼んでみましょうか?」



「マジでやめろ、俺にそんな趣味はない」



「あれ?

雨宮先輩が先輩はシスコン、ロリコンのミックスだから絶対喜ぶと言っていたのですが…」



「千鶴…金輪際ヤツとは口を聞くな」




とりあえず闇討ちでもしてやろうか、あのやろう。