店を出た俺は、とりあえず携帯で時間を確認した。


―9:42―



「………はぁ」



さすがに食事をとったくらいで時間は進んでくれない。


美波が指定した時刻は5時だったから、あと7時間近く暇をつぶさなければならない。




………無理だろ。




「だいたい何で休日の朝にひとりでぶらぶらしなきゃなんねぇんだよ…」




今一度美波を恨む。





      □





「先輩?」



暇つぶしに本屋で立ち読みをしていたときのことだった。



先輩、と呼ばれてとりあえず二人の人物を想像したが、この声変わりしきってない声は…



「………よう」



「やっぱり先輩でしたか!

いやぁ、声かけてよかったです!」




俺の後輩、佐山千鶴だった。