余談、というかまあ、とるに足らない話。




「さあて、そろそろ帰るわよ〜」



その母さんの一言で一斉に帰り支度を始める俺達。


シートをたたんでいると、妙にニヤニヤ笑う雨宮がやってきた。


とりあえず、ろくでもないことなのは間違いないだろう。



「ねぇ、高橋くん高橋くん」



「………何だ?」



「ファーストキスの感想をどうぞ」



「……………」



こ、このやろう…


人命救助すら俺をからかう話題にするつもりか!



「知らん、記憶にない」



「なるほどぉ…

記憶が飛ぶほど熱烈な口づけだったと」



「無理矢理な解釈するな!

そんなことしてねぇ!」



「じゃあ、これからするのね」



「お前とは一度真剣に話し合った方がいいらしいなぁ!」



「うるさい!!」




と、俺達の会話がうるさかったらしく、美波が声を荒げた。


妹に叱られる俺って………



「特に純一!

さっきから口ばっかりで手が動いてない!!」



「俺なのか!?

悪いのは特に俺なのか!?」




最近、俺はアウェイだ。



「………ん?」



………純一?





………まあ、とるに足らない話だ。