妹なんていらない

「美波っ!!!」



美波が溺れていることにまだ気づいていないらしい母さん達の側を全力で泳いで通り過ぎた。




「ぶわっ!あしっ!つっ…ぶぶ……!!」



美波はバタバタと暴れながら、そんなことを言っていた。




そして、目標である美波のすぐ側まで辿りつく。


その頃には、美波の姿はほとんど見えなくなっていた。



俺は一気に潜水し、沈んでいく美波の腕を掴み、強引に引き上げた。





     ◇




「はあ…はあ…」




海岸に上がった俺は、呼吸を整えつつ、隣にいる美波を見た。


美波は海から出たというのに全く反応がない。


どうやら意識を失っているみたいだ。




「っ………!!

くそっ!!!

美波!!美波!!」




俺は、美波の名前を呼び続けた。