妹なんていらない

「は…?」



「高橋くん知らないでしょ?
優しさってね………



………って、あれ?」




急に、雨宮の表情が変わった。



キョトンとしているような、驚いているような、そんな感じだった。



いったい何に驚いているのだろう、と思いながら、俺は雨宮の視線の先を目で追った。



その先には………




「あれって…美波?」




海の上で、バタバタともがいている美波の姿があった。




「ちょっ…!!

ま、マジで溺れてるわけあいつ!!?

そのためにわざわざ浮き輪をあげたってのに!!」



「溺れて……る?」



「は、早く助けなきゃ!!

係の人はどこ!?」




助ける?


早く?


何を?





………美波が、溺れている。




「っ…!!」




気づいたら、俺は美波の元へ走っていた。