妹なんていらない

「もういい!

一人で練習する!」



美波はそうとう機嫌を損ねたらしい。


いつも以上にきつい目つきで俺を睨んだ後、俺に水をかけてきた。


海水はとてもしょっぱい。



「一人でってお前…

手をひいてもらわなきゃばた足すらできないじゃねぇか」




あんだけされていまだに平静な状態の俺は、もしかしたらかなり寛大な人物なのかもしれない。




「う、うっさいわね!!

練習すればそれも一人でできるわよ!!」



「だから、そこにいくまでの過程がだな…」



「うるさいって言ってるでしょ!

私に構わないで!!」



「構わないでってお前………」




…そろそろ平静な状態の自分も崩れそうだ。



こんなに助けてやっているのに。


こんなに心配してやっているのに。


それを、こいつは。



「………あぁ、もう!!

勝手にしろ、この馬鹿!!!」



「な………ば、馬鹿?

ば、馬鹿って言った方が馬鹿なんだからね!!」




俺は美波のそんな言葉など無視し、その場を去った。