妹なんていらない

「高橋さん、ゆっくりでいいからまずは水に慣れていこう!

はい、まずはばた足から!」



「は、はひ………」




遠巻きに見ながら、俺は少し不安になっていた。



勢いで、美波に泳ぎを教えてくれ、だなんて言ってしまったが、本当に大丈夫だろうか。




結城に手を握られ、ばた足で泳ぐ美波の表情は真っ赤っかだった。


若干にやけているようにも見えるが、半分以上は結城と二人で泳ぐという状況に緊張しているように見える。




「そうそう、うまいうまい!」



「ひゃう………」




大丈夫…だよな、多分。


運動神経はいいから、ちゃんとがんばって練習すればきっと泳げるようになるはずだよな。




「先輩!
いきましたよ!」



「おわっ!?」



バシッ!



「うわぁ…高橋くん、だっさぁ………」




………とりあえず、目の前のビーチバレーに集中しよう。