妹なんていらない

「で、それでもお前は泳がないのか?」



「うるさい、黙れ。

もう一度『泳ぐ』って言葉を使ったらあの世に送る…」



おぉ…こわ。


あの世に送る、ってお前、そんなことで殺人犯になるつもりかよ。



俺は美波の放つ禍々しいオーラに内心びびりつつ、結城を指差した。




「なら、泳…がなくていいから結城のところにいってこいよ」



「あんたは私に恥をかきにいけって言ってるわけ…?」



「波打ち際くらいまでなら全然大丈夫だろ?」



「………でも、無理だもん。

結局、何も話せないし…」




俺は思わず額に手を当てた。


相変わらず結城関係は弱気になる妹だ。




「………ったく」



「え?」



「ほら、俺も一緒に行ってやるからついてこい」



そう言って、俺は美波の手を強引に握った。




「わっ!

ちょ、ちょっと待っ…!!」



「結城、こいつに泳ぎを教えてくれるか?」




ったく…、手のかかる妹をもっちまったもんだ。